「オレンジ / Little Glee Monster」の歌詞を解釈してみました

マキタ・ショウマ

2017年01月15日 08:35

リトグリの2ndアルバム「Joyful Monster」は、1stと比べてバラードが増えているのが特徴です

シリアスな「会いにゆく」に対し、ノスタルジックで暖かい印象の「オレンジ」は、曲調と同じく歌詞の内容も違う世界を描いています

今回は「オレンジ」の歌詞について、ぼくが読んで考えたことを書いていきます


女の子が彼氏に対して、自分の気持ちをストレートに言えないモヤモヤした切ない気持ちがテーマになっています

好きな人のもとから離れずにずっとそばにいたい、というのが彼女の本当の気持ちです

しかし、どうしてそれが言えないのかと彼女は悩みます


“一秒も逃さずに見てるから”
なんて言えない


こんな言葉と気持ちを抑える一方で、つい行動に本当の想いが出てしまうところもあるようです


繋いだ手を離す瞬間
一度強く握り返す 右手


さて、1曲を通して3回あるサビですが、1回目と3回目は同じ歌詞です

2回目のサビで歌われる歌詞が最も大切ではないか、とぼくは考えています

ついさっきも引用したように主人公の「本当の気持ち」が描かれているからです

この2回目のサビを詳しく見ていきます

“一秒も逃さずに見てるから

主人公はこの言葉を本当は言いたいわけですが、どうして言えないのでしょうか

名前を呼べば少し照れて

サビの前にある、この歌詞のように照れている、恥ずかしいからでしょうか

ぼくにはそうは考えられません

冒頭の歌詞からわかるように、主人公はバスに乗って彼氏のもとを去らなければなりません

彼氏のもとを去ったのに「一秒も逃さず見てる」ことはできるでしょうか

本当は彼氏のそばにいて、ずっと見ていたいけどそれができない

できないことを本当にやっていることのようには言えない

だから、単なる照れ隠しのようには考えられません


1回目と3回目のサビは同じ歌詞ですが、2回目のサビとブリッジの歌詞を通して違う意味になってきます


夕日がビルに溶けて


情景描写が出てきますが、舞台の様子を描いているだけではなく、登場人物2人の関係に例えられています

まず「ビル」は「この街」にあってそこから動かないものなので彼氏、そして「夕日」は時間が来れば沈み「この街」から動いて消えてしまうものなので主人公にそれぞれ例えられているはずです


また明日 聞かせてほしい ずっと


「ずっと」という言葉で最後のサビに入りますが、この「ずっと」と3回目のサビにある「ずっと」は未来に向かっていっている言葉でしょう

「また明日」という言葉があるからです

それに対して、1回目のサビにでてくる「ずっと」は過去から今までの「ずっと」と考えられます


一秒毎に変わる表情が
日々を彩る

実際に表情が変化しているわけではなくて、主人公の記憶の中で彼氏の様々な表情が思い出されるということでしょう

1回目のサビではこういう意味です

3回目ではそれが、様々な表情をするあなたとの想い出がこれからも増えますように、と願いを込めた意味に変化しているように捉えられます


あなたに会って恋をした過去

ずっといっしょにいたいけれど、それができず自分の気持ちを言えない現在

そしてこの街で共に過ごし、想い出が増えていく未来

この3つがシンプルな構成と歌詞の中に込められているとぼくは考えています

二人がいっしょにいられるのは空がオレンジに染まっているときまでだけれど、いつかはそれを変えたい

2月から始まるリトグリの春ツアーで「オレンジ」が歌われることがあれば、そんな主人公の気持ちが彼女たちの演奏から察せられないかというのが、ぼくの中の期待のひとつです

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